システム(チーム)全体を俯瞰する視点の重要性

複雑な関係性の中で本質を見抜き、持続可能な変化を生み出す力

目次

はじめに|“全体”を見なければ本質は見えない

現代の組織課題や人間関係の多くは、「誰が悪いか」や「どこが悪いか」といった部分的な視点では解決しきれません。
特に以下のようなケースでは、それが顕著に現れます:

  • チームの一部が離職を繰り返している
  • 部署間の摩擦が絶えず、施策が形骸化する
  • 「良かれと思った改善策」が逆効果になる

こうした課題の背景には、個人や出来事だけでは説明できない構造的な要因が潜んでいます。

この構造を見抜くために欠かせないのが、「システム(チーム)全体を俯瞰する視点」です。

システム思考とは何か?

システムとは「つながりの集合体」

システムとは、単なる「集まり」ではなく、相互に影響し合う関係性のネットワークです。

  • 一人の発言がチーム全体の空気に影響を与える
  • 部署の方針変更が別部門の業務効率に影響する
  • 家族関係の変化が個人の働き方に影響する

これらはすべて、個別の要素ではなく「関係性のダイナミクス」によって成り立っています。

システム思考とは

*システム思考(Systems Thinking)*とは、このつながりや循環の構造を理解し、部分ではなく“全体”としての振る舞いを捉えるアプローチです。
原因と結果の単純な因果関係ではなく、時間と共に変化するパターン、フィードバックループ、暗黙のルールなど、複層的な構造に注目します。

なぜ俯瞰視点が必要なのか?

1. 問題の“本当の原因”は見えにくい場所にある

表面上の課題は、システムの氷山の一角でしかありません。

「なぜうまくいかないのか?」を問うとき、
「どこを見ているか」が答えの質を左右します。

  • 誰かの責任として切り分けるのではなく
  • どんな力学がその行動を生んでいるのかを見る

という視点が必要です。

2. 部分最適は全体最適を損なうことがある

個別の業務改善や人材育成が、時に逆効果になるのはよくある話です。
たとえば:

  • 優秀な個人を育てても、チーム文化が合わなければ定着しない
  • 一部署の成果に偏ると、他部署が疲弊する

「一部が良くなる=全体が良くなる」とは限らない。
全体を見通す視点があってこそ、本当に意味のある改善が可能になります。

システム全体を俯瞰する3つの視点

1. 時間軸の視点:変化のパターンを見る

今起きていることは、過去の積み重ねの結果であり、未来への予兆でもあります。
目の前の問題だけでなく、「いつから/どのように」変化してきたのかという時間軸の流れを見ることが重要です。

例:

  • 定例会議で発言が少なくなったのは、1人の強い否定がきっかけだった
  • 新人が早期離職する流れは、育成方針の変更と連動していた

2. 関係性の視点:個人の背後にあるつながりを捉える

AさんとBさんの衝突も、実は「役割のズレ」「期待の非共有」「上下関係の緊張」など、関係性に潜む構造の結果であることが多いです。

関係性は「誰が悪いか」ではなく、「どのような関係の中でそれが生まれているか」を問うことで見えてきます。

3. 境界線の視点:見えない“線”を可視化する

組織には様々な「境界線」が存在します:

  • 部署と部署の境界
  • 上司と部下の境界
  • 中途入社と生え抜き社員の境界

この見えない線が、コミュニケーションや協働を妨げることがあります。
俯瞰視点では、「どの境界が強すぎる/曖昧すぎるか」を見極め、橋渡しを考えることができます。

実践的アプローチ:俯瞰視点を育てる方法

1. システムマッピング(関係性可視化)

チームや組織の関係性や構造を図示する手法。以下のような情報を整理します:

  • 誰がどのように関与しているか
  • どの関係が緊張しているか
  • 情報の流れや滞りのパターンはどこにあるか

図として「構造」を見える化することで、見落としていたつながりが浮かび上がります。

2. 氷山モデルで考える

【事象 → パターン → 構造 → メンタルモデル】という階層構造で、問題を深掘りするモデル。
表面的な出来事の背後にある「繰り返される構造」や「思い込み」に目を向ける訓練になります。

3. システムコーチング的アプローチ

関係性全体を1つの“システム”として扱い、そこに起きているダイナミクス(力学)を言語化し、対話によって変化を促します。
「個人ではなく、場に焦点を当てる」点が特徴です。

システム全体を俯瞰する視点が育むもの

1. 問題解決から“意味づけと変容”へ

表面的な課題解決にとどまらず、その背景にある構造や意味を捉えることで、持続的な変化と学習の土壌が生まれます。

2. 多様な視点を歓迎する文化

全体を捉えるには、多様な立場や感情に耳を傾ける姿勢が必要です。
結果として、組織に「心理的安全性」「対話の文化」が根付きやすくなります。

3. “誰か”ではなく“私たち”の問題として捉える力

俯瞰視点は、「誰が正しいか」ではなく「私たちに何が起きているか」を問う姿勢を育みます。
対立を超えて協働する基盤となるのです。

おわりに|複雑性に向き合う力を育てよう

複雑な現代において、単純な問題解決モデルは限界を迎えつつあります。
システム全体を俯瞰する視点は、そんな複雑性の中に秩序や意味を見出し、より本質的で創造的なアプローチを可能にします。

自分の見ている世界が「全体の一部」に過ぎないことを知り、他者とともに全体像を描いていく。
その視点こそが、持続可能で共創的な組織や社会をつくる土台となるのです。

システムコーチングに興味があればお気軽にご相談ください。
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