システムコーチングにおける「場」の作り方

対話と変容が生まれる関係性の土壌をどう育てるか

目次

はじめに:なぜ「場」が重要なのか

システムコーチング(ORSC:Organization & Relationship Systems Coaching)では、「場(field)」という概念が中心的な役割を果たします。
これは単なる物理的な空間ではなく、「その関係性が持つエネルギーや雰囲気、無意識の影響を含む集合的な空間」を指します。

言い換えれば、誰がそこにいるかだけでなく、“その関係の中で何が起きているか”という質の空間です。
この「場」の質が、対話の深さや関係性の変容を大きく左右します。

では、どうすればその「場」を意図的にデザインし、支えることができるのでしょうか?

「場」とは何か:システム的な視点で捉える

システムは「関係性」でできている

システムコーチングでは、個人ではなく関係性自体を1つのクライアントとみなすのが特徴です。
この関係性には以下のような要素が含まれます:

  • 感情的なつながり(信頼、不安、期待、緊張など)
  • コミュニケーションのパターン(沈黙、皮肉、回避など)
  • 見えない力学(暗黙のルール、上下関係、排除と包含など)

これらすべてが「場」の構成要素であり、変容の対象でもあります。

「場づくり」の基本的な考え方

1. 場は“自然にできるもの”ではない

「人が集まれば場ができる」と思われがちですが、信頼と対話が可能な場は、意図的に設計し、守り、育てる必要があります。
放っておけば、無意識の力学や立場の違いに飲み込まれ、表層的な会話にとどまってしまうからです。

2. 場は“関係性の質”によって決まる

場の良し悪しは、参加者の関係性の質によって決まります。
システムコーチは、中立的な立場からその場のエネルギーや緊張を感じ取り、「場に何が起きているか」をメタ視点で捉える力が求められます。

実践:システムコーチングで「場」をつくる具体的手法

1. コンテナの設定:安全で信頼できる枠組みを整える

コンテナとは、場を包む「枠」のようなものです。これを整えることで、安心して対話ができる空間が生まれます。

  • 契約の明確化:目的、役割、ルール、時間などを明確にする
  • 心理的安全性の確保:批判・評価を手放すことの合意
  • 話す・聴くの対等性:発言権や沈黙を尊重する文化を共有

初回セッションでは「この場で何が大切か?」をクライアント自身から引き出し、共にコンテナを創るプロセスが重要です。

2. システムの声を聴く:全員の視点を場に乗せる

関係性の中では、声が大きな人だけが目立ちがちです。
しかし、「声なき声」「まだ出てきていない感情」も場の一部として扱うことが、関係性の全体性を保つ鍵です。

  • 「今、まだ話していない誰かの視点は?」
  • 「この場にいない人だったら、何を感じると思う?」

など、視点を拡げる問いを投げかけることで、場に多様性と奥行きが生まれます

3. メタスキルを活用する:意図と在り方を整える

コーチの「在り方」は、場に大きな影響を与えます。
システムコーチングでは「メタスキル(meta-skills)」という概念を用いて、自らの意図や感情を調律します。

例:

  • 「好奇心」「中立性」「勇気」「慈悲」などの態度を意識して場に臨む
  • 「私は今、どんなエネルギーでこの場に影響しているか?」と自問する

コーチ自身が整っていることで、場が落ち着き、信頼が育ちやすくなります。

4. フィールドの感知:言語化されない情報に耳を澄ます

場には言葉だけでなく、沈黙、緊張感、身体の感覚、エネルギーの流れなど、非言語的な情報が満ちています。

  • 「今、この場にどんな空気が流れているか?」
  • 「この沈黙には、どんな意味があるか?」

コーチが“場のエネルギー”を読み取り、それを言語化して投げ返すことで、無意識の力学が意識化され、変容が促されます。

システムコーチングの「場」が生む効果

1. 本音の対話が生まれる

守られた場では、通常は語られない感情や違和感も自然と出てきます。
それが信頼を深め、関係性の質の転換点になります。

2. チームが「自分たちの力」で学習する

コーチが解決策を提示するのではなく、「場」自体がリーダーとなり、必要な問いや気づきを生み出すようになります
このプロセスは、チームの自己認識力と学習力を高めます。

3. 持続可能な変化の基盤ができる

場の質が高まると、コーチ不在でも対話が続きます。
つまり、「場づくり」は一時的な支援ではなく、自走する組織文化の土台を育てるアプローチなのです。

まとめ:場づくりは意識と技術の融合

システムコーチングにおける「場」とは、ただそこにある空間ではなく、関係性に対する深い配慮と意図に基づいて形成されるものです。
その本質は、場そのものを信じ、場を通じて変容を信頼する姿勢にあります。

  • 関係性の構造を俯瞰する
  • 声なき声に耳を傾ける
  • コーチの在り方を整える
  • フィールドのエネルギーを感じる

これらすべてが「場の力」を引き出す鍵となります。

システムコーチングに興味があれば、お気軽にご相談ください。
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