「やらされ感」から「納得感」へ――共鳴する目標が生む組織力
はじめに:なぜ「統合」が必要なのか?
多くの企業で、「組織のビジョン」と「個人の目標」がかみ合っていないことが課題となっています。ビジョンは掲げられていても、個々の社員が「自分の仕事とどうつながるのか」分からず、結果としてやる気やエンゲージメントが低下してしまうのです。
反対に、個人の価値観や目標が組織の方向性と一致すると、社員は高い納得感と主体性を持って行動し、組織全体の成果も飛躍的に向上します。
組織のビジョンとは何か?
組織のビジョンは、単なる「スローガン」ではありません。それは、組織が未来にどのような価値を提供し、社会にどのようなインパクトを与えたいかを示す羅針盤です。
良いビジョンの特徴:
- 明確でわかりやすい
- 社員が共感できる言葉で語られている
- 日々の行動や意思決定の指針になる
例:
「人と組織の可能性を最大化する」
「すべての人に安心と自由な暮らしを」
個人の目標と価値観を知る重要性
一方で、社員一人ひとりにも、独自の目標や大切にしている価値観があります。それは「評価されたい」「収入を上げたい」といった外的動機に加えて、「誰かの役に立ちたい」「創造性を活かしたい」といった内的動機も含みます。
代表的な個人の目標:
- スキルを高めて専門性を磨きたい
- ワークライフバランスを大切にしたい
- 社会貢献性の高い仕事がしたい
これらが、組織のビジョンと接点を持たないままだと、「やらされている感覚」が生まれやすくなります。
組織のビジョンと個人目標が乖離すると起こること
| 問題 | 影響 |
|---|---|
| やりがいの欠如 | モチベーション低下、離職率の上昇 |
| 単なる作業と化す | 自律性が育たない、創造性が発揮されない |
| 評価や目標設定が表面的 | 数値達成だけが目的化される |
統合のための5つのステップ
1. 組織のビジョンを「浸透させる」のではなく「共に語る」
ビジョンを上から一方的に伝えるだけではなく、対話の中で「このビジョンが自分にとってどう意味を持つのか」を言語化するプロセスが重要です。
実践ポイント:
- 組織のビジョンについて話すワークショップを設ける
- 経営陣がビジョンに対する想いを語る
- ビジョンと現場の仕事の接点を一緒に考える機会をつくる
2. キャリア面談や1on1で個人の価値観を探る
個人の目標や価値観は、「何が大事か?」という問いを通じて引き出せます。上司が傾聴する姿勢を持ち、評価と切り離して対話することが鍵です。
問いの例:
- あなたが仕事で最も大切にしている価値は?
- どんなときに達成感を感じますか?
- 組織でどんな役割を果たしたいですか?
3. 「交差点」を見つける
組織のビジョンと個人の目標の交差点を見つけましょう。完全に一致する必要はなく、重なり合う部分を探すことが大切です。
例:
- 組織のビジョン:「地方創生」
- 個人の価値観:「人とのつながりを大切にしたい」
→ 地域の人と直接つながるプロジェクトを担当してもらう
4. 目標管理(MBOやOKR)に“意味”を持たせる
目標設定のプロセスにおいて、「なぜこの目標なのか」「どうビジョンと関係するのか」を対話的に決めることで、目標が“意味ある行動”になります。
- OKRの「Objective」にビジョンとの接続性を記載する
- MBOにおける行動目標に個人の価値観を反映させる
- 評価ではなく、成長のためのリフレクションを重視
5. 組織の制度や評価基準も再設計する
文化や意識だけでなく、制度面でもビジョンと目標の統合をサポートしましょう。
制度面の工夫:
- 成果だけでなく行動や価値観の一致も評価対象にする
- チーム単位でのビジョン貢献を称賛する
- 副業や社内プロジェクトの選択肢を増やす
統合が進んだときに生まれる変化
ビジョンと目標が統合された組織では、以下のような変化が起きます。
- メンバーが自発的に行動する
- 離職率が下がり、エンゲージメントが向上する
- 意思決定のスピードと質が高まる
- チーム間で協力が自然に起きる
まとめ:一人ひとりの「意味」を尊重する経営へ
組織のビジョンと個人の目標が統合されると、ただの「管理される働き方」から、自らが納得して動く「意味のある働き方」へとシフトします。
重要なのは、トップダウンではなく対話を通じて「共鳴点」を見つける姿勢です。制度や研修ではなく、日々のコミュニケーションや関係性の質こそが、統合を実現する最大の鍵になるのです。


個人と組織が同じ方向を向くとすごいエネルギーになりますよね。
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